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北海道に眠るおいしいを世界へ ノースファームストックの躍進

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北海道に眠るおいしいを世界へ ノースファームストックの躍進

岩見沢市事業者の想い

文:浅利遥 編集:高橋さやか 写真:斉藤玲子

「生まれてきたからには、面白いものをつくりたい。」ーー北海道の食材を使った、個性あふれる商品を岩見沢から発信するブランドがあります。1964年創業の株式会社白亜ダイシンが2003年に立ち上げたノースファームストック。ミニトマトジュースやピクルス、ジャムをはじめ、150種類以上にもおよぶ商品ラインナップで、地元北海道はもとより首都圏でもその名が知られています。
もともとは、鍋や調理器具をあつかう金物屋さんだったという株式会社白亜ダイシン。北海道のおいしさを届けるブランド「ノースファームストック」に秘められた物語を取締役の早坂晋太郎さんにうかがいました。

北の農産物にひと手間加えて。 ノースファームストックが引き出す新たな個性

色とりどりのディップやジャム、ピクルス、調味料など、食卓に彩りを添えるノースファームストックの商品。ブランドの立ち上げからこだわっているのは、徹底して地元北海道の食材を使うことです。早坂さん自ら「尖っている」と評する商品についてうかがいました。

ーー地元北海道の食材にこだわった商品作りの根底にはどんな想いがあるのでしょう?

早坂
:そうですね。北海道の食材はなんといっても味が良いですし、知名度があります。そのまま食べてもおいしいけれど、それをまた違った形で発信していきたい、という思いがありました。

全道各地の契約農家さんから原料を調達して、自社工場で加工しています。こだわりの北海道食材を仕入れて自社工場で手作りし、全国に発信していくというところがネーミングの由来にもなっています。ノース=北、ファーム=農家さんとつながる、ストック=弊社でストックして蔵出しという意味を込めて「ノースファームストック」というブランド名が生まれました。

ーーノースファームストックの商品は、北海道の食材を使いながらも「どんな味がするんだろう?」と、驚きとワクワクがつまったものが多いイメージがあります。

早坂
:数ある商品の中でも、定番のジャムなどよりは、ビーツのソース、山わさびソース、昆布のマスタードといった「どう食べるの?」っていう商品へのニーズが意外と多くて。
マニアックな野菜は生産量が限られるので、そういう時は地元の農家さんに協力してもらうことが多いですね。ピクルスもそうですし、特にトマトはこだわりがあって、どうしてもイタリアントマトを使いたいという希望がありました。

普通のトマトは、カットすると水っぽいべちゃっとした感じになるんですけど、イタリアントマトはナスのように実が締まって味が凝縮されています。トマトソースの本場であるヨーロッパではそれが主流なので、できるだけ再現したいという、強い思いがありましたね。
当初は北海道内でも生産している農家さんが少なくて。岩見沢市の契約農家さんにお願いし、生産してもらうことになりました。

畑で実るイタリアントマト。細長い形とぎゅっと詰まった旨味が特徴。(写真提供:ノースファームストック)
畑で実るイタリアントマト。細長い形とぎゅっと詰まった旨味が特徴。(写真提供:ノースファームストック)

きっかけはミニトマトジュース 金物業から農産加工ブランド設立へ

北海道各地の生産者とつながり、個性的な商品を展開しつづけるノースファームストック。パッと目を引くデザイン性の高いパッケージも、魅力のひとつです。2015年にはガラスびんアワードで「リリー・フランキー賞」を受賞。味だけでなくデザインにもこだわるのは、ブランド立ち上げ時の想いが鍵となっています。金物業を営んでいた白亜ダイシンが、2003年に「ノースファームストック」を立ち上げたきっかけに迫ります。

ーー白亜ダイシンは、もともと農産品加工業ではなかったのですよね?

早坂
:白亜ダイシンは、先代の社長が昭和39年に創業した会社で、鍋や調理器具を販売する金物業を営んでいました。岩見沢市内だけじゃなく、北海道中の農家や病院に車で出向いて、直接販売をやっていたんです。その後、現社長がある地域の農産部会を営業でまわった時に、「これでも飲みなよ」と、ミニトマトのジュースをポンと渡されて。それが衝撃的な美味しさだったそうなんです。
 
当時、道内だけでなく国内でも、加工品やお土産の分野でブランドの世界観が表現されたスタイリッシュなデザインのものは、今と比べると圧倒的に少なかったんです。「こんなに美味しいものが埋もれているのは、もったいない。ブランディングして、幅広い層に買ってもらえるようにしたい」という想いがきっかけとなって、看板商品でもあるミニトマトジュースが誕生しました。ですから、数ある商品の中でも一番思い入れが深いですね。

北海道産ミニトマトを一瓶に約160個使用した贅沢なトマトジュース
北海道産ミニトマトを一瓶に約160個使用した贅沢なトマトジュース

ーー最初から実店舗で展開されていたのですか?

早坂
:白亜ダイシンは金物の店をやっていたので、そこを改装して、ジャムとかトマトジュースを売る場所を無理矢理作りましたね。笑
住宅街の中にあったので、最初はお店っぽくはなくて、外観は普通の家。ノースファームストックというロゴすらなく、白亜ダイシンという名前にしていたので、色々わかりづらいという事態が起きていました。

ブランド立ち上げ時のノースファームストック(写真提供:ノースファームストック)
ブランド立ち上げ時のノースファームストック(写真提供:ノースファームストック)

ーー晋太郎さんは、当初から関わっていたのでしょうか?

早坂
:僕は、立ち上げから3年後に加わりました。その前は札幌や東京にいて。東京では販売の仕事や、銀座でウェイターをしたり。単発でプロダクションの仕事もしていましたね。当時は、岩見沢に戻ってくることは考えていなくて。

2003年にノースファームストックが立ち上がって軌道に乗った。けれど、今度は人手がいないということになって。地方では人を集めるのが大変じゃないですか。それで、戻ってきて欲しいという感じがあって・・今に至ります。
人としゃべるのが好きで、人見知りしない性格なので、人にモノをおすすめする仕事は比較的向いているのかなと感じます。

ーーこれまでの歩みの中で、苦労されたこともたくさんあったのでは?

早坂
:いやぁ〜正直、苦労は毎回ありますよ。苦労なしに知名度をあげるのは不可能。寝ないで働く時もあります。ものが売れなければ、2週間連続でプロモーションやったりとかしてます。ここ数年は関西方面にアプローチしていて、1週間おきに奈良行って、京都行って、兵庫行って、大阪行って。あまり口には出さないようにしてますけど、苦労だらけです。笑

商品開発も、常に試行錯誤です。たとえば、北海道産の生姜で作ったジンジャーエール。
生姜って高知県が有名ですけど、「北海道にはこんなに広い大地があるんだから、生姜をつくれないわけがない!」という考えから始まって。岩見沢の農家さんと何度も失敗しながら、土から2年かけてつくり上げました。寒暖差が理由で辛みが出ないとか、色んな試行錯誤を乗り越えて。ジンジャーエールや生姜シロップ、トマトソースにも生姜を使っているんです。6次産業としてつくり上げた、思い入れのある商品ですね。

最近では、サウナの人気の高まりから、北海道の生姜を使ったシロップはサウナ好きの方からも好評です。生姜は体をあたためる効果があるので、代謝アップを狙ってサウナ前に飲まれているようですね。

ーー苦労や壁にぶつかった時は、どう乗り越えているのでしょう?

早坂
:う〜ん。乗り越えるときに重要なのは、同じところにとどまらずに外に出ていくこと、ですかね。北海道の中で慢心せずに、東京や大阪という日本の大きな都に、地元岩見沢、地元北海道を背負って、良さを届けにいく。オンラインや店舗でただ待っていても、広がっていかない。なので、外に出ていくっていうのは、壁を乗り越える上で重要なアクションだと思いますね。

ここ5年くらいは、関西に行くことが多いんですが、地元の人と直接話すと、岩見沢市もノースファームストックも全く知られてないということに気づかされるんですよね。展示会や商談会、物産展などでお客様と接する中で、徐々に広めているような感じです。ノースファームストックだけじゃなく、北海道にまず「岩見沢というまちがあるんだよ」を知ってもらうことが大切。うまく繋がっていけば、岩見沢というまち自体の可能性も広がっていくのかなと思います。

HOKKAIDOを背負って世界へ 広がるノースファームストックの未来

故郷・岩見沢を背負って日本全国にノースファームストックを発信しつづける晋太郎さん。その夢は、日本国内にとどまらず海外にも向けられています。

ーー今後のノースファームストックについて、こうしていきたいという展望はありますか?

早坂
:まずは、もっと知名度を上げていくことですね。会社としての長期事業計画でも、今は「知名度をあげる」スキーム。コロナ禍でなかなか外に出ていくのが難しい状況ですが、可能な限り岩見沢を、ノースファームストックを知ってもらえるよう、動いているところです。

僕自身としては、他業種の方と組んで面白いことをできたら、というのが頭の中にずっとあって。そのきっかけになったのが、イベント会社の社長さんとの出会いです。ノースファームストックとしてできることを提案させていただく機会があり、他業種の方と一緒に新しい取り組みをすることの面白さを感じました。僕自身がいろんな人と繋がっておけば、あたらしい何かが生まれる可能性が広がっていくじゃないですか。うまくできれば、岩見沢というまちの活性化にもつながっていくのかなと。

あとはやっぱり、海外は視野に入れてなきゃ絶対ダメだと思うんですよ。世界を見てないと続いていかないというのが業界内にもあるので。うちはすでに短期のフェアも含めて、17カ国くらいに輸出しています。

北海道って世界の人から見ても「うまい!」がつまってる。HOKKAIDOというブランドをどんどん世界に向けて発信していった方がいいですよね。継続させることは本当にパワーが必要ですが、発信し続けて世に出し続けないと。そこからどんどん面白いものが生まれていくといいな、という夢はあります。

ーー常に面白いものを作りたいというのがあるんですね。

早坂
:いやぁ〜つくりたいんですよね!生まれてきたからには面白いものを。
ただ、普通では終わりたくない。これからもワクワクするようなものを生み出していきたいです。

“Meet Local , Feel Global”ーー先日、ふと目にとまったこの言葉。ローカルに出会い、世界を感じる。ローカルにこだわり抜いたものは、突き抜けた個性を身にまとい世界とつながっていく。
北海道岩見沢で、土地の恵みを生かしてつくりだされるノースファームストックの商品は、これから日本のみならず、世界の食卓で人々を笑顔にしていくのではないでしょうか。「うちのスタッフは興味関心のアンテナがすごいんです」と、語る晋太郎さん。どんなワクワクがつまった商品が生み出されていくのか、ノースファームストックの未来が楽しみです。

店舗情報



NORTH FARM STOCK|株式会社白亜ダイシン
〒068-0833
北海道岩見沢市志文町292-4
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