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稚内牛乳から地域の酪農を盛り上げたい!ここでしかない味をお届け

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稚内牛乳から地域の酪農を盛り上げたい!ここでしかない味をお届け

稚内市事業者の想い

文:立花実咲 写真:嶋崎亜侑香

稚内と聞くと、どんなキーワードを思い浮かべますか?

日本最北、宗谷岬、国境、漁業など、稚内に対するイメージは人それぞれ。酪農も、稚内の代名詞の一つです。

「稚内といえば酪農」というイメージを少しでも後押ししたい。そんな想いから2007年に誕生したブランドが「稚内牛乳」。赤いマークが目じるしです。

賞味期限が短いからこそ育める価値

「稚内牛乳」は、稚内農協が母体となり、牛乳やアイスクリーム、飲むヨーグルトを作っているブランド。2020年10月からは、ララプラザという市内の商業施設に直営店を構えています。

店長を務めている佐々木陽一さんに、まずは商品のことを教えていただきました。

── ブランド名にもなっている稚内牛乳の特徴を教えてください。

佐々木
:稚内牛乳の特徴は、ノンホモ&低温殺菌。ノンホモとは、ノンホモジナイズドの略で、脂肪球を均質化していない牛乳を指します。均質化をしないと、油分であるクリームが浮かんできます。製造した初日の牛乳と、3日目の牛乳、賞味期限ギリギリの牛乳は、それぞれ味がまったく違い、牛乳本来の風味の変化を楽しむことができます。

── 低温殺菌だと賞味期限が短いというデメリットもあるのかな、と思いますが。

佐々木
:そうですね。余計な保存料などを加えていないので、確かに消費期限が6日間と短いです。そのため大量生産もできず、地方発送もしにくい。けれどそれを逆手にとって、デメリットを長所にしようと思いました。大量生産も発送もしづらいのはイコール『ここでしか飲めませんよ』というメッセージになります。あるいは『大量に作ってないからすぐ売り切れてしまうかもしれませんよ』とも言えます。

濃厚すぎないフレッシュな風味が評価され、2013年にはご当地牛乳グランプリの金賞を受賞。青いラベルが「飲むヨーグルト」。
濃厚すぎないフレッシュな風味が評価され、2013年にはご当地牛乳グランプリの金賞を受賞。青いラベルが「飲むヨーグルト」。

── 牛乳以外にアイスクリーム、ソフトクリーム、飲むヨーグルトも展開されていますよね。それぞれどういう経緯で生まれたんでしょうか。

佐々木
:牛乳は「ここだけの味」。その一方で、遠方の方にも稚内牛乳のおいしさを届ける方法はないかと考えたんです。冷凍すれば、お歳暮やお中元などの地方発送にも耐えられるという発想から、まずはアイスを作りました。「稚内牛乳」がスタートして、1年後ぐらいのことです。

飲むヨーグルトは、牛乳を卸していたお店などの声がきっかけです。牛乳やアイスを納品する際に、「冷蔵で保存が効くヨーグルトもあるといいんだけど」との言葉をいただいて。そこから、飲むヨーグルトを販売することにしました。

── 食べるヨーグルトではなく、飲み物にしたのは何故ですか?

佐々木:地元の人たちだけでなく、観光で稚内に来た人も購入しやすいだろうと思って、飲むヨーグルトにしました。観光客にとっては、両手がふさがってしまうので、食べるのはちょっとハードルが高いなと感じました。でも飲みものなら片手ですぐに楽しめます。

ブランドを広めることで、酪農家を後押ししたい

2007年に稚内牛乳がスタートしてから、佐々木さんは直営店の店長として、さまざまな試行錯誤をくりかえし、ブランドの認知向上につとめてきました。

── 店長をされる中で、苦労されたことなどはなかったのでしょうか?

佐々木
:稚内牛乳っていうブランドを、市内に認知してもらうだけでも、初めは大変でした。2007年にスタートした時点でお店もありましたが、店をやっているだけで認知されるわけではありません。なので、市外のイベントや市内のお祭りに出店したり、少しずつ認知度を上げていきました。

佐々木:稚内牛乳というブランドを広めていくことで、稚内は農業もがんばってますよっていうことを推したかったんです。JA稚内管内には、60戸以上の酪農家さんがいますから。

稚内は、放牧に向いている土地なんです。野菜や米が育ちにくいけど、土地が広くて冷涼な気候が、牛には合っています。地の利を活かした特産品として、稚内牛乳は自信を持っておすすめできると思いました。

── 稚内牛乳というストレートなネーミングには、そいういった想いが込められているのでしょうか?

佐々木
:初めの名前の候補が「最北の雫」とか、日本酒みたいな名前が多くて。もっと分かりやすい方が覚えてもらいやすいんじゃないか、と。シンプルなものになりました。

── お話をうかがっていると、稚内への愛着が感じられますが、佐々木さんは稚内ご出身ですか?

佐々木:いえ、神奈川県出身です。

── 神奈川から、どういった経緯で稚内へたどり着いたのでしょうか。

佐々木
:東京農大の網走のオホーツクキャンパスに進学して、乳製品研究会っていうゆるめのサークルで、アイスを作って文化祭で売ったりしていました。就職で一度、東京に戻ったんですが、チーズやヨーグルトなどの乳製品に携わる仕事に就きたいと思って、北海道に戻ることにして。

ただ、札幌みたいな都市部より、違う地域のほうがおもしろそうだなと思って見つけたのが、豊富町の酪農実習生の制度でした。実習生として働き、その後「工房レティエ」というチーズ屋さんでも勉強させてもらいました。

​​── 稚内の前は、豊富町にいらっしゃったんですね。

佐々木
:はい。「工房レティエ」を経て、もう少しお金を貯めようと思い、別の仕事をして、自分でチーズとピザを出すお店を始めました。

── えっ、稚内でお店を?

佐々木
:はい。でも2年くらい営業して、お店を閉めることにしました。ちょうどそのタイミングで、前職時代に知り合った稚内農協の方に声をかけていただいて、この事業に関わることになったんです。それが14年前。今は農協の職員として、店長をしています。​​​​​

地元の人に愛される、ここだけの味

取材前も取材中も、お店には親子連れや高齢の方が、途切れることなく買い物をしている様子が見られました。

特産品は、産地の外へ出荷され、実はなかなか地元の人が食べられないというケースがめずらしくありません。けれど、稚内牛乳はララプラザという、地元の人が日常的に利用するビルの中に入っているおかげか、買い物がてら、「ここでしか味わえない美味しさ」に、舌鼓を打つ市民も多いようです。

── お店に来るお客さんは、どのような方が多いですか?

佐々木:今はコロナの影響もあって、約99パーセント、市内の方です。以前は「稚内副港(ふっこう)市場」という観光客向けの施設に入っていましたが、2020年10月にララプラザに移転しました。立地的に分かりづらいので、初めて稚内に来た観光客は迷うかもしれませんが、地元の人は通いやすくなったのではと思います。

── どの商品が人気ですか?

佐々木
:ソフトクリームやアイスですね。たくさん買いに来てくれます。牛乳は、スーパーなどで売っている1リットルの牛乳に比べると高いので、毎日飲むには手が出づらいですが、自分へのご褒美とか、親戚や家族が家に来た時に「稚内牛乳って知ってる?」って紹介してもらえたらうれしいですね。

── アイスは、稚内のふるさと納税でも人気商品とうかがいました。

佐々木:ちょうどアイスを売り出した時期は、まだアイスが返礼品としてめずらしかったんですよね。あとは、人工的な乳化安定剤など使わずに作ってますし、無添加無着色ということを大事にしているのが、注目してもらえた理由かもしれません。

(写真提供:佐々木さん)
(写真提供:佐々木さん)

── ソフトクリームはお店でしか食べられない逸品ですが、こだわりポイントを教えてください。

佐々木
:昔から、ソフトクリームを食べると喉が渇く感覚があって。原因は、水飴がたくさん入っているから。自分が食べたい、喉が渇かないソフトクリームを作りたかったんです。だから、材料は稚内産生乳、北海道産の生クリーム・脱脂粉乳・グラニュー糖、そして最低限度の安定剤だけ。味はさっぱりめです。

稚内の酪農の可能性を広げたい

店長としてお店の経営を担う立場になった今でも、アイスやヨーグルト作りが好きだという佐々木さん。店頭に立ち、商品のPRや営業もしながら、新しい商品のアイディアも、ふくらませていると言います。

── 今後「稚内牛乳」として、準備中の商品など、ありますか?

佐々木
:アイスクリームの味のレパートリーを、もう少し増やしたいと思っています。あと、お店では、ディッシャーでアイスクリームを提供できたらな、と。カップアイスの味を増やすとなると、ラベルの印刷とか手間がかかります。でも、店頭ですくって提供する形なら、新しい味を試作で売ることもできます。

もともとチーズや牛乳を作っているのが一番楽しいんです。だから、どうやって商品を見せたらいいのか、ゼロから考えて形にしていくのは、この仕事の醍醐味ですね。

お客さんに聞いてみて「これ、違うね」とか「美味しいね」って意見をもらいながら、商品にできるかもしれない。あとは、牛乳、アイス、ヨーグルトって作ってきたので、次はバターかチーズかな。最終的にチーズまでたどり着いたらうれしいですね!

取材後に、稚内牛乳を飲んでみました。舌触りはさっぱり、飲んだあと、ほんのり甘味が広がりました。「振っても味が変わりますよ」と教えていただいたので、翌日に何度かボトルを振っていただくと、たしかに香りも甘味も濃厚に変化。ボトルを振ると、とろりとしたクリーム部分も馴染んで、飲みやすくなったと感じます。

いつでもどこでも、お金さえ出せば美味しいものが食べられる時代。市外に住んでいる方も、アイスやヨーグルトを通じて、稚内の広大な大地に育まれた新鮮な味を楽しめます。だからこそ際立つ、稚内牛乳の「ここにしかない味」。移動が心置きなくできるようになったら、ぜひ稚内に足を運び、自分の舌で感じてみてください。

「稚内ブランド」のご案内


豊かな自然に囲まれた日本最北のまち・稚内市。
地域資源から生み出された名産品や文化、地域資源を「稚内ブランド」として認定し、国内はもとより海外へも地域の魅力を届けています。

こちらの記事でご紹介した「稚内牛乳」も「稚内ブランド」認定商品のひとつです。
「稚内ブランド」のWebサイトには、「これぞ稚内!」がぎゅっとつまった商品がずらり。
ロゴをクリックして、ぜひ併せてご覧ください。
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